なぁ、お前いくらなんでも早すぎねーか。
まだまだやりたい事とかあっただろ?
俺別にお前とすげー仲良かった訳でもなんでもないけど。
だからといって仲悪かった訳でもないし。
まぁ、会えば喋るし。
一緒にメシ食った事もあるし。
そんぐらいだけどさ。
高校卒業後同じ年に。
俺はこの業界に就職して。
お前は美容学校に入学して。
俺の方が先に現場入って。
お前の方が後からサロンに来て。
年は同じだけど先輩、後輩の間柄になって。
俺が講師で教える事もあった。
この業界そんなのはザラにある。
やっぱ年が同じってだけで親近感あって、
講師で行くたびにお前がいれば安心した。
ただ現場に入ったタイミングが、
俺の方がちょい早かっただけで。
ただそれだけ。本当にただそれだけ。
ラーメン食って、タバコ吸って。
コーラ飲んで、またラーメン食って。
「お前、早死にするよ。」
って言ったのを覚えてるよ。
昨日のお通夜。
お前の顔を久々見て。
俺の思いは伝えた。
いい顔してた。
昨日置いてあったシザーケース。
そこに刺さってた一本の黒いハサミ。
あのカチカチ音するやつ。
懐かしいな。
お前の独特な笑い声とハサミの音が。
今もどっかから聞こえる。
お前が死んだって聞いた時。
信じられないのと同時に。
どっか納得して、何かが心に引っかかった。
まだまだやりたい事とかあったはず。
それと。
やっぱりタメだから。
周りは全員ライバルの中で。
数少ないタメだったから。
同じ年齢ってだけでどっか少し安心できたから。
最後の最後だけ。
そうやって一抜けすんのね。
人生全うできたか。
そんなのは誰も知らない。
でもお前なら。
どうなっても笑ってられそうだから。
昨日。
母ちゃんと父ちゃんに会ったけど。
「思い出してやって下さい」
って言ってたけど。
親より先に死ぬのは。
それだけが唯一笑えない。
でもまぁ。
ハサミの音と笑い声は忘れねーよ。
原島。
31年間。
お疲れ。
ありがとう。
黙祷。